白元「民事再生」の「奇っ怪」な舞台裏

執筆者:内木場重人2014年10月2日
 創業91年目にして…… (C)時事
創業91年目にして…… (C)時事

 老舗日用品メーカー「白元」が9月1日、殺虫剤メーカー大手の「アース製薬」に75億円で全事業を譲渡した。5月29日に255億円の負債を抱えて民事再生法適用を申請していたが、スポンサーを獲得できずに自力再建を断念し、創業91年で歴史の幕を閉じた。

 白元の社名は一般に馴染みが深いとは言えないが、使い捨てカイロ「ホッカイロ」や保冷枕「アイスノン」など人気商品の知名度は高い。負債額も今年2番目(当時)の巨額。加えて、破綻時の社長・鎌田真(47)の創業家4代目、慶応卒のハーバード大MBA取得という毛並と華麗な経歴や、過去に丸川珠代・自民党参議院議員との浮名も流れたことなどから、破綻はマスコミでも話題となった。

 結果的に同業事業会社への身売りとなったが、アース社による買収決定については賛辞的報道がほとんどだった。しかし、白元の複数の経営幹部や関係者らによれば、実態はかなり違う。従業員の大半はこの買収に絶対反対の意思表示をし、スポンサーも存在していたのに、「完全な出来レース」(白元の経営幹部)によって身売りされたとの指摘がある。よりによって、白元側の代理人弁護士やアドバイザーらが「従業員を食い物にした」というのだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。