カストロの天国と地獄

執筆者:名越健郎2006年10月号

 1959年のキューバ革命以来47年間にわたり独裁体制を維持したフィデル・カストロ議長(80)が、8月初め、腸の手術を受け、権限を一時、政権ナンバー2の実弟ラウル・カストロ第一副議長に委譲した。 容体は「国家機密」ながら、悪性腫瘍説などが流れている。議長の早期退陣を望む米国はこれまで重病説、死亡説を意図的に流し、議長は「小さな北の隣人(米国)は安心すべきだ。100歳までは在職しない」などと笑い飛ばしてきた。 だが、公表された病室の写真は衰えが目立ち、カストロ時代の終焉が近いことを感じさせた。 あの世で、ブレジネフ・ソ連共産党書記長がホーネッカー東独共産党書記長とばったり出会った。「久しぶりだな。一杯どうだ」「ブレジネフ同志、もう少し待って3人で飲みましょう。もうすぐカストロ同志が来るはずです」 カストロ議長が遂に寿命を終え、地獄に落ちた。地獄の番人が議長に言った。「カストロさん、地獄にもいろんな罰があります。自分で見て選びなさい」 カストロ議長は地獄を歩き始めた。すると、マルクスとレーニンが血の池でもがき、スターリンとブレジネフが針の山でのたうち回っていた。カストロ議長は真っ青になった。 さらに進むと、フルシチョフが裸のマリリン・モンローと抱き合っているではないか。議長は手を叩いて叫んだ。

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