北の金融犯罪に中国の“忍耐”も限界に

執筆者:青井悠司2006年11月号

「日本は老鬼、朝鮮は二鬼。だが核実験まで突き進み、いまや朝鮮こそ頭号鬼子(最大の鬼)になったとの声が出始めました」――中国軍のある幹部が漏らした。日本を老鬼(筆頭の鬼)と罵るのは有名だが、軍内部ではすでに北朝鮮を二鬼(二番目の鬼)と呼んでいた。今回の核実験で北は老鬼に“昇格”しそうだ。 この軍幹部や国務院幹部によると、以前は遠慮がちだった北の犯罪行為は「三年くらい前からエスカレートし公然化してきた」。中国側を驚かせたのは、「二年半ほど前のある日、在平壌の中国大使館の預金残高がほとんどゼロになった事件」だ。 大使館は北の銀行に口座を開設していたが、「大使館員の給与を引き出そうと担当係官が出向いたところ、窓口で残高不足と告げられた」のだ。本国から振込完了の連絡を受けた後に窓口に出向いただけに、係官はキョトン。いったん大使館に戻って北京に再確認し、翌日、再び出向いたが、答えは同じだった。「現に口座にお金がないのです」。 続いて銀行係員は「これ以上の発言(=抗議)は、反共和国の悪辣な宣伝と捉えざるをえません」と「凄みを利かせたそうです」と先の軍幹部。口座には全館員の給与の数十倍もの資金を蓄えていたから、残高不足に陥るわけがない。政府ルートで徹底調査を求めたが、今に至るも「なしのつぶて」だという。消えた人民元は「少なくとも数百万元、一説には二千万元」と噂されている。

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