相次ぎ「世襲」に動くインド有力企業

執筆者:緒方麻也2014年10月17日

 インド経済の高成長を担ってきた有名企業が、相次ぎ世襲による後継者指名に動き始めた。タタ・グループなどの巨大財閥を除けば、実質的創業者やオーナーが今なお君臨しているケースが目立つインド企業だが、グローバル化による競争激化や株主の厳しい目もあって、経済界や社会全体に認知される後継者の選定は容易ではない。帝王学を身につけた高学歴の御曹司や令嬢たちが、インド経済の荒波にどう立ち向かうのか、大いに注目したい。

 

アンバニ帝国の3代目は双子

 創業者の故ディルバイ・アンバニが英領イエメン(当時)への出稼ぎで得た資金を元手に一代で築き上げ、2人の息子が事業を継承して一時はタタをもしのぐ勢いを見せたのが、石油化学産業を中核とするリライアンス・グループだ。リライアンスは兄弟の主導権争いから2005年に分裂したが、兄ムケシュ(57)、弟アニル(55)の2人が率いる2つのリライアンスは、それぞれ競い合う形で強烈な存在感を維持している。

 推定資産2兆円超、インド最大の資産家とされる長兄ムケシュ率いるグループ傘下のリライアンス・ジオ・インフォコムとリライアンス・リテール・ベンチャーズの2社は10月中旬、ムケシュ氏の双子の子供であるイーシャ、アカシュ(23)の2人を取締役に任命する人事を発表した。

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