北朝鮮の核実験に世界の耳目が集まるなかで、イランが第三国を経由して敵視する米国から軍事転用可能な技術の入手を進めている。在カイロの消息筋が指摘したもので、米政府はこの極秘取引にはまだ気がついていない模様だという。 イランが狙いを定めているのは、現在保有する中距離ミサイル「シャハブ」を改良するためのミサイル開発に転用できる技術。具体的にはミサイルの目標探知・識別に使う最先端のセンサー技術などで、すでに問題のルートで今年初めから徐々に入手を開始している。第三国とは、ペルシャ湾の対岸に位置するアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで、ここに置いたダミー会社から米国の会社に発注しているとみられている。 イランからドバイまでは小型船でも半日もあれば渡ることができる。ドバイにはイラン系企業が五千―六千社あり、しかも世界からの投資が流れ込むなかで、こうした密貿易は目立ちにくい。イランにとっては北朝鮮が弾道ミサイル技術の主要な供給源だが、北朝鮮の技術は時代遅れの感が否めず、米国の技術にも触手を伸ばしているのだろう。 イランと北朝鮮は、イラン革命防衛隊のミサイル技術者が七月の北朝鮮のミサイル発射の前後に北朝鮮入りするなど、このところ親密さを増している。このため、イランが米国から手に入れた技術が今度は北朝鮮に渡される「悪の連鎖」の可能性も指摘されている。

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