「米ウォルマート・ストアーズが日本から撤退するのではないか」――流通業界でこんな観測が急浮上している。ウォルマートは丸紅によるダイエー再建支援の提携パートナー選びに名乗りを上げていたが、丸紅はイオンを指名。選に漏れたウォルマートは日本での事業拡大のチャンスを逸したためだ。 ウォルマートは、ダイエーを取り込んで規模拡大することによって西友との同時再建を狙っていただけに、ダイエーを取り損ねたのは痛手となった。 ダイエーと並行して「全国の有力スーパー数社にも提携の誘いをかけていたが、西友の再建がうまくいっていないなどの理由で断られている」(大手小売り首脳)。それほど西友の業績は不振だ。六月の中間決算では五期連続の赤字。ウォルマートが資本参加した〇二年以降、業績はまったく浮上していない。 ウォルマートから派遣されている西友幹部は、「既存店売上高が前年同期比一・四%増と十五年ぶりに増加に転じた」と業績回復を強調する。だが、あるスーパーの役員は「営業時間の延長と利益を犠牲にした安売りによるもの」とにべもない。 ウォルマートは西友に二千億円以上の資金をつぎ込んできたが、赤字の連続。ダイエーの取得にも失敗し、残る選択肢はドイツ、韓国に続いて日本市場からの撤退かという観測が出るのも無理からぬ話か。

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