大西洋をまたぐ形で欧米間の証券取引所の合併が進行するなか、香港証券取引所の将来が懸念されている。 米ニューヨーク証券取引所(NYSE)がパリを拠点とするユーロネクストを買収し(最終合意は当局の承認待ち)、米ナスダック(店頭市場)がロンドン証券取引所の株式二五・三%を取得して買収をちらつかせたことからすれば、たとえばNYSEが太平洋をまたいで香港証取を買収することも考えられる。 だがこうした観測に対し、香港証券商協会の李君豪会長は、「香港証取にとって、過半数株式を外国の一取引所に所有されるよりも、多くの独立した株主に支えられることが香港の利益にかなう」と述べた。 海外との提携を避けるこの発言は、香港の固定通信最大手、PCCWの李沢楷会長が通信事業の香港以外への売却(実際には香港投資家への株式売却で決着)を模索した際に起こった「国粋主義」的な論調と酷似する。 香港の行政法上では香港証取の株式保有上限は五%に定められており、唐英年財政長官は、香港または香港以外の機関や企業による五%を超える株式保有を阻止できる。しかし現状では、同長官がこの権限を行使する可能性は少ない。 もし唐長官が外資に対し同上限規制を発動するとしたら、それは香港証取が、中国本土の上海株式市場や深セン株式市場との提携を考慮した時だろう。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。