農業問題が、来年夏の参院選の焦点に浮上しつつある。昨年の衆院選で「農村は自民党の票田」という構図が崩れ、農村票が民主党に流れた。そこで民主党の小沢一郎代表は農業問題を争点に掲げ、国会の本会議は欠席しても農村を行脚するなど、農村票の獲得への執念を見せている。 だが、九月に刊行された小沢氏の著書『小沢主義(オザワイズム)』には、多少でも農業政策に知識のある人間なら「ミスプリントではないか」と目を疑う提言がある。以下、引用する。「近年、農水省が提案しているのが、個々の農家に対して、直接的に補助金を支払い、農業経営を助けていこうという方法である。これがいわゆる『直接払い』で、(中略)日本の農業の生産性を上げるために、零細農家を切り捨て、どんどん農業経営の大規模化、法人化を進めていきたいというのが農水省の本音なのである」「そこで僕が提唱しているのは『不足払い』という方法だ。(中略)これならば、市場価格そのものを操作しないから、消費者には安い農産物を選択する機会も保証される。(中略)もし、市場価格が大幅に下落して、生産コストを下回るようなことになった場合、その不足分を国が補填してくれるわけだから、農家の人たちは安心して生産に励むことができる」

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