敵に接吻を贈れ

執筆者:名越健郎2006年11月号

 11月7日の米国の中間選挙は2008年の大統領選の前哨戦。大統領選ではブッシュ大統領が退陣、チェイニー副大統領も出馬しないとあって、1952年以来初めて現職の正副大統領がいずれも出馬しない異例の選挙となる。 中間選挙で民主党が上下両院の過半数を制するなら、ヒラリー・クリントン上院議員ら民主党候補への追い風となり、政権交代の可能性が強まろう。 防戦のブッシュ大統領は「イラク民主化に失敗すればテロリストが米国を攻撃する」「民主党が勝てば必ず増税する」とテロと増税という2つの危機を煽っている。2002年中間選挙、04年大統領選で奏功した古い戦術が三たび成功するかどうかが焦点だ。 ヒラリー・クリントン上院議員が対決するニューヨーク州の共和党上院議員候補は、これまで3度結婚し、3回目の選対本部長の女性との結婚時には、2人目の妻が妊娠中だったことが判明した。 テレビのキャスターがコメントした。「『クリントン』が家族の価値を代表する候補になったのは初めてのことです」 コネティカット州の民主党上院議員候補を決める予備選で、イラク戦争を支持した現職のリーバーマン上院議員が新人候補に敗北した。 民主党幹部がコメントした。

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