サウジアラビアと並ぶ世界最大の産油国ロシアの石油生産が、二〇一〇年をピークに減少する見通しが強まった。いまやエネルギーはロシアにとって国力の源泉だけに、減産はプーチン後の新政権にとって痛手。国際石油価格にも影響しそうだ。 ロシアの複数のエネルギー研究機関が採掘データや地質調査を基に行なった予測によれば、主力の西シベリア油田の生産量が鈍化。一部の油井で枯渇化の徴候があり、生産総量は五年後から緩やかな減少に向かう。新規油田開発の中心となる東シベリア油田も有望ではなく、日中両国への十分な輸出は見込めないという。 ロシアの石油生産は現在日量九百六十八万バレル。二〇〇〇年前後は年率二桁の伸びだったが、昨年の生産量は前年比二・四%増。今年は同一%増程度で、停滞期に入りつつある。 ロシアの場合、生産量の半分以上が国内向けだけに、今後輸出量の低下は必至だ。天然ガスも二〇一五年をピークに減産に向かうと予想されている。 ロシア経済は製造業が衰退の一途をたどり、資源依存体質がますます強まっている。プーチン大統領は石油増産と国際価格高騰に恵まれた「幸運な大統領」だったが、〇八年に誕生する後継大統領はどうなるか。

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