「師走総選挙」の争点は今後の「経済ビジョン」
2014年11月26日
サプライズ(驚き)というより、ショック・アンド・アウォー(衝撃と畏怖)というべきだろう。11月18日、安倍晋三首相は衆院解散の剣を抜いた。投票日は12月14日、赤穂浪士の討ち入りの日である。選挙の焦点は、野田佳彦首相による2年前の解散と同じ消費税である。経済と財政をめぐる、この国のかたちが問われようとしている。
官邸に一杯喰わされたメディア
2015年10月に予定されていた消費再増税の1年半延期と衆院の解散。18日の安倍首相の解散表明は、メディアによって事前に報道された通りの中身だった。年内解散の観測を最初に報じたのは『週刊文春』(11月6日発売)で、この時点で世間は「週刊誌の飛ばし記事」くらいに受け止めていた。その後、9日付の『読売新聞』が1面ワキの記事で年内解散の可能性浮上と伝える。投票日について12月14日と21日の両日を挙げていたのが印象的である。
この“眉唾”が出た後の10日の時点でも、凡庸なジャーナリストたちは「『読売』報道は眉唾だ」と自己保身に走っていた。「再増税見送りなら解散」などといった書きぶりは、「典型的な『れば』『たら』記事だ」といった具合だ。「れば、たら記事」とは「もし~なら」といった条件をつけて、つまり逃げを打っての観測記事をいう。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。