日本でも感染者発生に備えて訓練をしている(C)時事
日本でも感染者発生に備えて訓練をしている(C)時事

 2014年11月15日土曜日午後3時45分。西アフリカのシエラレオネで医療活動をしていたマーティン・サリア医師(44)が、現地でエボラウイルスに感染し、治療のために米国ネブラスカ州にあるネブラスカ医療センターに搬送されました。

 病院に到着時、サリア医師は極度に重篤な状態であることが全米のニュースで流れました。多くの米国民は、サリア氏の状態は、これまで米国でエボラウイルス病を克服した8人の感染者とは違うのだと受け止めました。

 ネブラスカ医療センターは、米国最大規模の「生物学的封じ込め施設(Biocontainment Unit)」を備えています。現在、米国には4つの生物学的封じ込め施設があり、バイオテロや自然発生した非常に強い感染力がある病気の影響を受けた人に対して、最前線の治療を行っています。また、治療に携わる医師、看護師やスタッフは、特定のプロトコールと患者さんのケアの手順に準じて、特別な訓練を受けています。

 これまで、このネブラスカ医療センターでは、エボラ感染者であるリチャード・サクラ医師、フリーカメラマンのアショカ・ムクボ氏ら2人の治療に成功しています。サクラ医師は、実験薬である『TKM-Ebola』の投与とエボラ生存者からの輸血を受け、ムクボ氏は、別の実験薬である『Brincidofovir(ブリンシドフォヴィル)』の投与とエボラ生存者からの輸血を受けました。両実験薬とも、ウイルスが複製して増殖することを抑えるための薬です。輸血は、エボラ生存者の血液中にはエボラウイルスに対する抗体が含まれていて、エボラ感染患者の免疫システムを助ける効果が期待されています。さらに、エボラ感染には激しい下痢や嘔吐が伴うことがありますので、ミネラルや栄養が失われるため、2人は厳重なモニタリングの上、重篤な疾患のある患者に対するケアである「支持療法」を受けていました。

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