十二月にマンモハン・シン首相が来日するなど明るい面が目立つ日印関係だが、日本企業のインド事業には制度上の障壁に直面している案件も珍しくない。 スズキの子会社でインド最大の乗用車メーカー、マルチ・ウドヨグは十一月、ニューデリー近郊に建設する新工場について申請していた経済特区(SEZ)の適用を商工省から拒否された。 SEZは新規投資の促進策で、すでに近隣にある工場の拡張とも見られるマルチの計画は対象外というのが商工省の言い分。特区に認められる免税措置で歳入が減ることを財務省が危惧した結果との見方もある。 マルチは日産自動車と提携し、新工場で日産車を共同生産する腹づもりで、工場のSEZ化はその前提だった。だが、商工省の判断の後、日産側は親会社ルノーと近いインド中堅自動車メーカー、マヒンドラ&マヒンドラとの提携に乗り換え、マルチとの計画は、ほぼ撤回した。 自動車用シートベルトのメーカー、タカタの場合、全額出資による子会社の設立申請を、審査にあたるインド政府の外国投資促進委員会(FIPB)が保留している。タカタはインドに合弁子会社をすでに持っており、共同出資者である地元企業から同意書を得ないかぎり、新規の別会社設立は認められないとの規定があるためだ。

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