ロシアの防諜機関、連邦保安局(FSB)のパトルシェフ長官が十一月末から数日間来日したが、実はそれに先立ち対外情報局(SVR)のレベジェフ長官も九月に秘密訪日しており、ロシアの「暴力装置」の対日アプローチが活発化している。 パトルシェフ長官は「サンクト派」で、一九九九年にプーチン前長官の後継に就任。レベジェフ長官もプーチン政権発足直後に任命され、いずれも大統領と太いパイプを持つ。二人とも毎週土曜日に行なわれる大統領と安保関係閣僚の会議に出席しており、相次ぐ訪日は大統領が指示した可能性がある。 一方、北朝鮮の軍・情報機関とパイプを持つロシア情報機関との情報交換を望む日本側は、両長官に核・拉致問題での情報協力を求めたもようだ。 そもそもパトルシェフ長官を招請することを決めたのは安倍晋三首相だったという。目的は、「拉致事件でロシア側の情報を確認したかったから」(政府関係者)。その情報とはタス通信記者が入手したもので、「有本恵子さんがヨーロッパで生存している」というもの。ロシアのメディアはかつて横田めぐみさんの生存情報を指摘した経緯もあり、真偽を確かめるために北朝鮮情報を総合的に把握するパトルシェフ長官を安倍首相の命で招いたのだという。バレーボールの観戦名目で来日した長官とは、警察庁幹部も会談した。

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