「安倍圧勝」の後に待ち受ける「未年」の地雷原

執筆者:青柳尚志2014年12月28日
 経済再生が急務(C)時事
経済再生が急務(C)時事

 安倍晋三首相と菅義偉官房長官の完全な作戦勝ちだった。2014年12月の総選挙の結果は、どんなコメントを付そうにも、自民党の圧勝であることに変わりはない。2015年は難問の地雷原を匍匐(ほふく)前進せざるを得ない安倍政権は、圧勝で充電した「政治的資本」をどう活用するかが、試されることになる。

 

エコノミストの本音

 屋上屋を重ねる説明は避けよう。総選挙で問われたテーマは、経済の立て直しを措いてほかにない。14年4月の消費税増税を機に消費がもたつき、日本の実質国内総生産(GDP)は2四半期連続でマイナス成長になっている。米国流の定義でいえば、リセッション(景気後退)である。安倍首相は胸を張って、経済再生を言える立場にはなかった。

 景気が振るわない何よりの証拠は、15年10月に予定していた消費再増税を、1年半延期せざるを得なかったことだろう。潜在成長率が今や0%台に低下するなど、日本経済の基礎体力は著しく弱まっている。もともと、14年4月の消費増税に慎重だった安倍首相にしてみれば、「だから言わんこっちゃない」というのが、胸の内だろう。

 安倍首相の憤懣には、もっともなところがある。何しろ14年4~6月期、7~9月期がマイナス成長になったばかりでなく、14年度を通してみても実質GDPは前年度を下回る見通しなのだから。大本営発表よろしく、消費増税後の景気のもたつきを「想定の範囲内」などと甘く見ていた当局やエコノミストの罪は重い。

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