ミャンマー、パキスタン、スリランカ、およびアフリカ諸国との関係を深める中国が、いつこれを「インド包囲網」に転じるかわからないとして、インドの港湾整備事業を中国企業に請け負わせることに、インド海軍の司令官が強く反対している。 中国への警戒感を表明したのは、海軍司令官のスリーシュ・メタ提督。背景には、連立与党統一進歩連合(UPA)の一員で、三つの州で大きな政治力を持つインド左派共産党が、南西岸ケララ州の二つの港湾整備事業を中国企業が受注できるよう政府に働きかけをしているという事実がある。事業は州都トリバンドラム近くのピジンジャム港と、コチ近くのバラルパドム港で計画されている。 すでにミャンマーと長年の関係を築き、スリランカにも興味を示す中国が、隣国パキスタンと戦略的な同盟関係を結んでいることに提督はとりわけ神経を尖らせる。「港湾整備事業に携われば、中国企業はインド近海の海底の地形や水深を含む海洋データを手に入れることができる」とし、「これは沿岸地域で進路を決める時など、潜水艦の運用上きわめて重要なデータとなる」というのだ。 中国とパキスタンが緊密で、かつパキスタンが最近バングラデシュに古い潜水艦を譲渡したという情報もある以上、中国にこうしたデータを渡してはならないというのが提督の主張だ。

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