インドのチャウドハリー女性児童開発相は、裕福な地域で行なわれる男女産み分けで男児が選ばれる結果、過去二十年間で生まれることのできなかった女の赤ちゃんの数は一千万にのぼると発表。彼女は、これは「衝撃的な数字」であり、事態は「国家の危機である」と語った。 二〇〇一年の人口調査では、新生児の男女比の全国平均は男千人に対し女九百二十七人だったが、豊かな北部パンジャブ州の平均は、男千人に対し女七百九十八人と異常な大差があった。出生前の超音波診断で女児とわかると堕胎したり、あるいは出産後に窒息させるなどの方法で失われる女児が多いからだ。女児の比率は一九九一年の統計よりも落ちており、これは技術の進歩で出生前の性別診断が容易になったためとみられる。将来的に大きな社会問題となりうる男女比のアンバランスさだ。 チャウドハリー大臣は、女児の扱いはトラや野良犬以下だと批判し、女性に対する偏見を是正するには、女性に教育を与えて力をつけさせるしかないという。 歴史的にはインドの女性は尊敬され、マハーバーラタなどの神話でも、女性に誤った扱いをすれば、強力な王でさえも滅ぼされると伝えられているのだが、女児よりも男児を望む風潮はなかなか消えないようだ。

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