2014年12月19日、中国の習近平国家主席は夫人を伴ってマカオを訪問した。1999年にポルトガルから中国に返還されたマカオの、返還15周年記念行事などをおこなうためである。

 

習近平マカオ訪問の意味

 ここで習近平は、1国2制度とマカオ特別行政区基本法の意義を再確認し、返還の成果を強調してみせた。1国2制度というのは、中国の中に2つの制度、つまり社会主義制度とそれ以外の制度があることを指す。その社会主義制度とは異なる制度が適用されているのは香港とマカオ、そして将来の台湾だというのが中国の立場である。だが、中華人民共和国の一部となった香港とマカオの制度がまったく同じと言うことでは無く、1国2制度の「2」というのは社会主義制度以外の「X」という複数形だということになる。

 マカオは99年の返還後、経済成長が著しく、また返還以前から「中国化」が進行していたために、北京から見れば社会主義制度外の地域としては優等生である。2014年には香港で傘がシンボルの“オキュパイ(占中)”と言われる、学生を中心とする運動がおき(“雨傘革命”とも言われる)、また中国からの影響が強まっている台湾では“ひまわり学生運動(太陽花学運)”という学生運動が起きたが、マカオではそうした運動はほとんど起きていない。習近平がこの地を訪問した意味がうかがえるであろう。

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