マネーロンダリング防止への取り組み不足で業務改善命令を受けた米国拠点のコンプライアンス(法令順守)問題や、安倍首相の受け取り自粛による政治献金見送りなど、このところ失点続きの三菱UFJフィナンシャル・グループだが、別の火種が社内に緊張を強いている。 駆け足で作業が進められているシステム統合のことだ。 三菱UFJは一昨年に経営統合したが、三菱東京UFJ銀行のコンピューターシステムは旧東京三菱と旧UFJの体系を暫定的に一本化して見切り発車し、その後時間をかけて完全統合に至るプランを描いていた。 だが、金融庁から問題点を指摘され、作業は混乱。統合作業は当初今秋にも完了する予定だったが、三カ月ずれこみ、さらに〇八年十二月まで「再延長」された。それでも、作業の進捗は「ギリギリの状況」(幹部)。始末が悪いのは、行内で「システムの第一人者」と崇められるのが、他ならぬ畔柳信雄頭取であること。担当役員は「トップと現場の板挟みにあって悲鳴を上げている」(同)という。 システムは銀行の動脈であり、その重みは事業会社の比ではないだけに、再度、完全統合が延期されれば、メガバンクの沽券にかかわる。景気回復で好業績に沸くメガバンク。三菱UFJも例外ではないが、足元はおぼつかない。

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