「税調」など必要ない

執筆者:2007年2月号

 政治とは税である。このたとえは、雨の日は天気が悪い、といっているのと同じぐらい当たり前のことである。いやがる国民から税を取り立てなければ国家運営は成り立たない。外交だ、内政だ、と騒ぐ前に、税という重要な問題があるのだ。それほど大事な問題なのに、この国では政治家が税についてあまり考えない。考えてはいるのだろうが、どう使うかが主たる関心で、どうやって国家の財布に金を入れるかについては、完全に腰が引けている。税制をどうするか、というのを決めるのはこの国では基本的に財務省の官僚と、それに操られる政府税制調査会なる「有識者」の怪しい組織。あとは一握りの自民党税制調査会インナーグループである。 税調は政府と自民党にそれぞれある。この二つの関係は説明不能である。昔は党税調に山中貞則という税制の大ボスがいた。彼がノーといえば、たとえ総理大臣であっても方針を貫くことはできなかった。通称「ヤマテー」と呼ばれたこの政治家が、政治と税を主権者たる国民の立場から考えていたかといえば、決してその通りだとはいえまい。役人を操縦しているように見せながら、実は役人がヤマテーを操っていたのである。 政治のもっとも重要な部分を政治家が決めない。官僚も逃げる。世間の目が官僚に厳しいのと、客観性を装うために、権力志向の民間の「有識者」を組織して「ご議論いただく」のが税制調査会である。政府にとってはたいそう重要な組織だから、そのメンバーに対しては下へも置かない対応である。税調委員というだけで、将来、勲章をもらえる(望めばの話だが、断る人は税調委員にはなっていないだろう)。

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