見極めよ「ポストBRICs」はどこか

執筆者:五十嵐卓2007年2月号

労働人口の激減が予想される日本こそ、将来の人口構成や発展条件を見据えて新たなBRICsを発見する必要がある。 インドシナ半島を縦断する大河、メコン。一月九日、タイとラオスの国境で、この河をまたぐ新たな橋が正式開通した。日本の政府開発援助(ODA)で建設された「第二メコン橋」である。ベトナム中部のダナンからラオス、タイを経て、ミャンマーの港湾都市、モーラミャインに至る全長一千四百五十キロの高速道路「東西回廊」の最大の要所だ。第二メコン橋の開通で東西回廊はミャンマー国内の一部を除いて完成、南シナ海とインド洋が陸路で結ばれた。 この橋の完成を警戒心を持って眺める国がある。北に位置する中国である。東西回廊の全通によって、産業立地としてのベトナムの競争力は飛躍的に高まり、さらに人件費が中国の三分の一以下といわれるラオス、ミャンマーも繊維製品、軽工業品、電子部品などの生産拠点として急浮上する可能性があるからだ。人件費、土地使用権や電力、水道、ガスなどインフラコストの急騰に加え、人民元の上昇で、競争力の低下が目立ち始めた中国にとっては、ベトナム、タイ、ミャンマー、ラオスが地域として一体性を高め、成長への意欲に目覚めることは脅威となる。

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