足利銀行の「受け皿」が見越す地銀再編加速

執筆者:鷲尾香一2007年2月号

一時国有化されている足利銀の経営譲渡先の選定が始まった。最有力視される地銀連合が不自然な経営参加方法を検討する理由は――。「地銀協の瀬谷会長は一体何を考えているのか」 昨年十二月初め、金融庁の五味廣文長官は怒りを露にしていた。二〇〇三年十一月に一時国有化された足利銀行の「民営化」に関して、政府が保有する株式の売却先となる受け皿金融機関の公募が締め切られていないにもかかわらず、「地方銀行連合を中核とするグループが有力」と何度も報じられたためだ。五味長官が地方銀行協会(地銀協)の瀬谷俊雄会長に釘を刺したのは、「地銀連合グループの検討資料が出回り、あたかも自分たちが有力候補だと宣伝しているように見えた」(金融庁幹部)からだったようだ。受け皿の選定は公平に行なうと宣言している金融庁は、先行報道に神経を尖らせていた。 十二月十五日午後五時、公募は締め切られた。金融庁は現在、(1)継続的に金融機関を経営し営業地域で金融仲介機能を発揮できるか、(2)買収金額を調達できるか、などの基準に基づいて審査を行なっている。これをクリアしたグループが今春には第二次審査に進む。金融庁は買収価格などの条件や具体的な事業計画を提出させ候補をさらに絞り込み、夏には受け皿を決定する方針だ。

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