いよいよ入試シーズン本番。大学入試センター試験を皮切りに、高校生らが試練に挑むが、今年は予期せぬ出来事に見舞われた受験生も少なくない。必修科目の未履修問題だ。昨年十一月、本来は学ぶべき世界史などを履修していない生徒が全国で約十万人に上ることが判明。文部科学省は、七十時間の補習を受けることを基本線とする救済策で事態の収拾を図ったが、未履修生には補習の負担が重くのしかかっている。 この問題をめぐり、高校教諭や予備校関係者が声をひそめて推理する話題がある。「騒動を仕掛けたのは誰か」というきな臭いテーマだ。 未履修問題は昨年十月下旬、全国紙の富山支局などへの匿名のたれ込み文書から始まった。これを地元紙『北日本新聞』がスクープとして報じ、報道は一気にヒートアップ。ひとたび「パンドラの箱」が開くと、未履修問題は全国に飛び火した。 たれ込み文書は「理系の生徒に世界史を学ばせていない」と富山県立高岡南高校を名指しで告発。「卒業資格のない生徒が卒業できるのなら、学校が書類を捏造していることが考えられる」と指摘し、「情報が正確であることを調査し、不正が追及されることを願う」と結んであった。 一読すれば、「善意の第三者」の告発文とも読める。だが「このたれ込みには裏があったのではないか」と深読みする関係者は少なくない。

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