食品安全委員会は機能しているのか

執筆者:一ノ口晴人2007年3月号

中国で、アメリカで、そして日本国内で、食の危機は発生し、消費者を襲う。いまこそ、“食の番人”の存在が重要になっているのだが――。 今年に入り「食のリスク」を実感させる事態が立て続けに起こった。宮崎県や岡山県で鳥インフルエンザが発生。北海道では国内で三十二頭目となる牛海綿状脳症(BSE)感染牛が見つかった。米国産牛肉の輸入再解禁から半年、米政府は輸入条件の緩和を強く求め始めている。この二カ月に限らずとも、食品添加物や中国産農産物の残留農薬、遺伝子組み換え(GM)食品など、日本の食卓は不安に覆われている。「食の番人」たる食品安全委員会は十分に機能しているのだろうか。      * 食品安全委員会は、二〇〇三年七月に内閣府の独立機関として設置された。事務局は東京・赤坂見附の高層ビル「プルデンシャルタワー」の六階と七階に置かれている。 このタワーは、一九八二年二月の大火災で外国人の宿泊客を含む死者三十三人を出し、営業停止処分を受けて廃業したホテルニュージャパンの跡地に建設された。火災で廃墟になったホテルと敷地を保有した千代田生命保険は二〇〇〇年十月に経営破綻。はなはだ縁起の悪い場所に本拠を置く食品安全委員会の三年半も、あまりいい運勢をたどってこなかったようにみえる。

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