ロシアのプーチン政権最強硬派の「シロビキ」(武闘派)が、憲法改正によるプーチン大統領の三選を断念し、次期大統領候補にグリズロフ下院議長(五六)を擁立する模様だ。 改革派ラジオ局「モスクワのこだま」などによると、旧ソ連国家保安委員会(KGB)や内務省出身者らで固めるシロビキは最近、総帥のセチン大統領府副長官の主宰で秘密会議を開き、大統領選では同下院議長を支持する方針を決めたという。 シロビキは自らの利権と権力維持のためプーチン三選を画策してきたが、大統領は繰り返し二〇〇八年での退陣を表明。もはや翻意は困難と判断したとされる。 サンクトペテルブルク出身のグリズロフ氏は、もともと電気工で、工場経営者などを経て、一九九九年に政界入りし下院議員に。二〇〇一年に内相、〇二年に与党・統一ロシア代表となり、〇三年には下院議長に就任したが、政治家としての経歴は浅い。日本を全く知らないのに、〇五年に「北方領土領有は日本のアジア侵略の罰だ」という長文の論文を書いた保守派。カリスマ性はなく、大統領当選は困難とみられ、「追い詰められたシロビキの焦り」(政界筋)が表れた人選のようだ。 セチン氏は大統領候補として本命の穏健改革派メドベージェフ第一副首相とは犬猿の仲。情報が事実なら、政権内の権力闘争が激化しそうだ。

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