就任から二カ月の潘基文国連事務総長だが、早くも国連内部から不満の声があがっている。不満の的は、潘事務総長の右腕の金垣洙次席補佐官。韓国外交通商省で一九七八年から働いて来たキャリア外交官で、政策企画官を経て、外交通商相だった潘氏の特別補佐として、韓国政府を代表し国連事務総長ポスト獲得運動を総指揮した人物である。キャリア外交官を妻に持ち、韓国では超エリート夫婦として知られる。 金垣洙氏に対する国連職員の不満は、金氏が事務総長の権限である国連人事に介入している疑いがあるからだ。国連行政を統率する事務次長にメキシコ出身の生物学者アリシア・バルセナ氏が任命されたと聞いて、多くの国連職員は「果して潘事務総長は本当に国連を改革する気があるのか」と疑ったという。というのも、バルセナ氏は南米コロンビア出身のオカンポ事務次長の特別な引きで異例の昇進を遂げた国連内の有名人でありながら、その職務遂行能力には疑問符がついていた人物だからだ。 潘事務総長が一度の面接もなしにそんな人物を登用した背景には、金氏の影響力があったという。金氏はまた、国連改革案そのものにも口を出している。軍縮分野の最高責任者を副事務次長から事務総長補級に落とし、平和維持軍活動部を業務と支援という二つの分野に分けるという案は、もっぱら金氏の発想と見られている。潘氏が他の職員より一時間早い朝八時に出勤したり、事務総長の収入や資産を公開したことも金氏の発案だという。

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