旧反政府組織である共産党毛沢東主義派(マオイスト)の武装解除を監視する国連ネパール支援団に、自衛官を派遣することを日本政府が検討しているネパールで、イスラム過激派が勢力を伸ばしている。 ネパールでは一月十五日に、すべての政治的権限を国王から剥奪し首相に与える暫定憲法が発布され、マオイストを含む暫定議会が成立した。こうした中、少数派のイスラム過激主義者が自治権とイスラム法の施行を求めて動き出した。率先するのは、マドラサ・イスラム協会代表のマウラナ・アブドゥル・ジャバール・マンジャリで、暫定政権にイスラム少数派の声が反映されていないと批判する。 ネパールではヒンズー教徒と仏教徒、イスラム教徒の間での宗教対立はなかったが、昨年九月ごろからイスラム過激主義の伸張が目につくようになった。 ネパール当局がとりわけ懸念を深めるのは、サウジアラビア発のイスラム過激主義ワッハービズム(南アジアではモウドゥディズムと呼ばれる)が国内に広がりつつあることだ。モウドゥディズムはバングラデシュで急速に広まり、ネパールのスンサリ地区にはバングラデシュからの不法移民が多く滞在している。ある集会では、バングラデシュ人銀行家が、ネパールのイスラム社会の「進歩」のために資金援助を約束したという。同地区のイスラム組織は、公務員を一定数イスラム教徒に割り振ることや、公立学校でウルドゥ語(パキスタンの国語)を教えることも政府に要求している。

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