温家宝首相の四月中旬来日を控え、東京の中国大使館が陣容を強化している。中国側は、安倍晋三首相と温首相による次回首脳会談が「この一、二年の日中関係でどちらが主導権を握るかの岐路となる」(同政府筋)と重要視しており、来日前に硬軟織り交ぜた圧力を日本にかけようとの思惑だ。 まず政治部の呉江浩参事官を公使・参事官に昇格させた。呉氏は昨年九月に池田大作創価学会名誉会長と極秘裏に会談、安倍首相訪中に向けた環境整備を「学会」との間で行なった。温首相来日も「ほとんど呉氏が仕切っている」(日中外交筋)。 今回の来日は靖国神社の春季例大祭(四月二十一日―二十三日)前に日程を入れることで、安倍首相の靖国参拝を牽制する狙いもあり、靖国問題を気にする創価学会にとっても好都合。呉氏は「古くからの友人は大切にしなければならない」と学会重視の姿勢を隠さない。 一方、東京から外れたのは滕安軍参事官。昨年帰国した程永華公使(現マレーシア大使)らと同様に創価大への留学経験を生かした「公明党・学会対策要員」でもあったが、三月に長崎総領事に異動することが決まっている。中国系コンサルタント会社社長の入管難民法違反事件に関与したことも響いたようだ。

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