北朝鮮の平壌で一月十二日午前、多数の戦車が緊急出動する騒ぎがあり、日本の防衛省は「米国による日本と韓国へのステルス機配備に対抗して、北朝鮮が国内の引き締めを図った」と分析している。韓国軍や中国軍も同様の分析をしているもようだ。 騒ぎは、平壌市内に戦車が出動し、軍が慌ただしく交信する様子を米韓情報当局が把握した。金正日総書記周辺でも緊迫した様子が観測され、韓国は一時「軍事クーデターか」と緊張。だが、それ以上の混乱は確認できず、韓国は訓練と判断した。 平壌近郊に戦車が進出する訓練が行なわれた例はあるが、市の中心部まで出動したのは極めて異例。しかも虎の子の燃料を大量に消費する戦車を大量動員した理由について、防衛省の情報担当筋は「前日の十一日、米軍のF117ステルス戦闘攻撃機一個大隊が韓国南西部の群山基地に到着したことに対抗する狙いがあった」と解説する。 だが、同基地にF117が派遣されたのは四回目で、そう珍しくない。同筋はこう続ける。「沖縄の嘉手納基地に二月十日、FA22ステルス戦闘攻撃機十二機が一時配備されることが発表されていた。日本と韓国に配備した二機種のステルス機があれば、北朝鮮のレーダー網をかいくぐって平壌攻撃が可能になる。過去にこれほど北朝鮮が航空攻撃の脅威にさらされたことはなく、市民に緊急事態を知らしめる必要があったのだろう」

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