不振から脱出できない日立製作所。昨年四月から十二月までの決算も営業利益は三〇%減、最終損益も七百六十八億円の赤字と、赤字幅は前年同期より七百億円以上拡大した。ハードディスク駆動装置、プラズマ、液晶の三事業の不振が続いているのに加え、原発タービン事故などの失態も抱えているためだ。 業績につられる形で株価も八百円前後で低迷。そんななか、「外資系ファンドが日立の買収に積極的に動いている」(米投資銀幹部)という。日立の時価総額は二兆七千億円前後だが、「原発や白物家電、情報通信など本体の様々な事業を切り売りできるほか、優良子会社も傘下に収められる」ことを考えれば、「現在の時価総額は割安」(外資系ファンド幹部)という。 名前が挙がるのは米KKRやカーライル、英ペルミラなど「一兆円から二兆円の資金なら簡単に工面できる大型ファンド」(同)だ。ファンドの相次ぐ訪問申し入れに「古川社長ら幹部が即座に断りの連絡を入れるようにと憤った場面もあった」(日立幹部)とのエピソードもある。日本の電機業界の雄である日立もファンドの台頭で今やM&A(合併・買収)の標的にされつつある。

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