今年は年明け早々、1月4日から9日までワシントンに滞在し、マンスフィールド財団主催の会議に出席するという貴重な機会をいただいた。日米関係をめぐる会議であったが、やはり議論の中心は中国であり、それに加えて、悪化する日韓関係についても多くの時間が割かれた。

 筆者は、昨年元日の論考で2014年の日米中関係を展望した(「2014年の『日米中3国関係』をアメリカから見る」http://www.fsight.jp/23428)。振り返ってみれば昨年は、ロシアのクリミア併合、「イラクとシリアのイスラム国」(Islamic State of Iraq and Syria: ISIS)の勢力拡大といったビッグ・ニュースがあったが、「中国とどう付き合うか」(How to manage China?)という問題は、米国では常に議論の中心に位置していたといえるように思われる。

 筆者が所属するサザンメソジスト大学タワーセンター政治学研究所では、毎年11月に「国家安全保障」をテーマに国際会議を開催しているが、昨年のテーマは、そのものずばり「米国と中国」(The United States and China)であった。そこで、2回にわたって、会議での議論に基づいて2015年の米中関係を展望してみたい。1回目は、国務省の要職を歴任し、現在スタンフォード大学フリーマン・スポグリ国際問題研究所の特別研究員を務めるトーマス・フィンガー氏の基調講演と、氏への筆者のインタビューに基づいて、米国の対中「関与」(engagement)政策の意味について考えてみたい。

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