いま重宝される「国家運営ノウハウ」伝授組織

執筆者:マイケル・ビンヨン2007年3月号

相談相手のいない首相や大統領に「先輩の助言」を懇切に説く。南アのデクラーク元大統領が考案した財団が、いま頼りにされている。[ロンドン発]あなたは、大統領の座についたばかり。長年に及ぶ国家の停滞の打破を公約に掲げて国民の期待を高め、激戦を制して古株を追い落としたところだ。 だが、事態は早くも悪い方向へと向かっている。抑圧されてきた少数民族は、新たな権利を求めて声高に叫ぶ。IMF(国際通貨基金)からは、改革を断行しなければ融資を打ち切ると脅され、一方で、党内抵抗勢力からは改革に手をつければ縁を切るぞと迫られる……。この状態で、誰に相談すればいい? どっちを向けば良い助言がもらえるのか。 その答えはロンドンにある。三年前にひっそりと設立された「グローバル・リーダーシップ財団(GLF)」へ電話すれば、あなたの窮状に耳を傾け、秘密を守ることを約束し、地球の反対側にいる首相経験者に連絡を取ってくれるだろう。彼や彼女は、一昔前に自国で今のあなたと同じ問題に直面し、見事に切り抜けた実績のある人物だ。「メンタリング(先輩の助言)」は、手に余る問題を抱えた人々の救済方法として、近年注目を浴びている。十代の若者や、刑務所を出たばかりの元囚人たちには、経験豊かな年長者による助言が功を奏しているからだ。だが、それを首相や大統領にも試してみようと考える者はいなかった――南アフリカ共和国元大統領F. W. デクラークが妙案を思いつくまでは。

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