中国の自動車市場が遂に日本を抜いた。自動車販売台数(バス・トラックなど商用車含む)は昨年、七百十五万台に達し、米国に次ぐ第二位の市場に浮上した。日本にとってはややショッキングなニュースだが、日中の人口規模の差をみればそれほど驚くには値しない。 中国の自動車市場について本当に驚くべきは、奇瑞汽車(チェリー)が三十万五千台を販売し、乗用車でシェア四位(五・八%)に躍進したことだ。二〇〇五年は販売台数が十八万九千台で、シェアは八位(四・八%)だったが、北京現代汽車、広州ホンダ、一汽トヨタを抜いて、一気に順位を上げた。奇瑞汽車の勢いは今年に入ってもまったく衰えをみせず、一月は三万七千台でシェア第二位に上昇している。トップの上海GMは四万五百台で差は三千五百台にまで縮まっている。今年、単月ではどこかの月で奇瑞汽車が販売台数トップに立つ可能性すら出てきた。 なぜ、奇瑞はここまで伸びているのか。奇瑞の主力車種はリッターカーの「QQ」や小型セダンの「A5」、中型セダンの「東方之子」など。 QQは排気量が〇・八―一・一リットルで最も安いモデルが四十万円台。初めて車を取得する中国人にとって買いやすく、運転しやすい。日本勢など外資系はこの価格帯で商品を出しておらず、奇瑞や吉利汽車、比亜迪(BYD)汽車など中国メーカーの独壇場となっている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。