一月中旬に開かれた「全国金融工作会議」の結果は本誌前号の予想通りの内容となった。一九九七年、二〇〇二年に続き三度目となる同会議は、九七年のアジア経済危機対策に始まり、国内の銀行改革や金融政策の方針を決めてきた。今年は、さらなる銀行改革と、世界一にまで膨れ上がった外貨準備(外準)が重要課題だった。 国有四大銀行のうち最大の不良債権を抱える中国農業銀行は、外準から最低でも二百五十億ドルの公的資金注入を得て、資本増強を図ることになるが、この注入額は今後三百億―五百億ドル規模に拡大する見込みだ。 特筆すべきは、一兆七百億ドル(約百三十兆円)の外準の「積極運用」を打ち出した点にある。「積極運用」とはつまり、現行の、米国短期債など定番商品での安定運用でなく、株式・長期債・コモディティ(原油や食糧などの市況商品)などに投資して、より高い利回りを狙う姿勢だ。また、エネルギー資源や原材料の確保に向け、中国国外への直接投資も検討されるだろう。一千億ドル超の運用資金を有するシンガポール政府投資公社(GIC)をモデルとしているようだ。 早くも動きがある。二月一日付の中国証券報は、中国財政省が人民元建ての債券起債を計画していると報じた。起債の真の目的は、中国人民銀行(中央銀行)がもつ外準から一兆五千億元(約二千億ドル)を吸収することにある。

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