2月7日投票、同10日開票のデリー首都圏(準州)議会選は、汚職追放を掲げる市民運動家アルビンド・ケジリワル前準州首相(都知事に相当)率いる庶民党(AAP)が定数70議席中67議席を獲得する圧勝となった。AAPは、2013年実施の前回選挙で勝利してつかんだ準州の政権をわずか49日で投げ出し、国政進出を目指して臨んだ2014年の下院選で惨敗を喫していただけに、今回の復活劇は驚きを持って受け止められている。

 これを受けて、一部には中央与党インド人民党(BJP)とモディ首相人気の陰りを指摘する声もあるが、果たしてそうだろうか――。今回はデリー首都圏議会選の結果を分析してみたい。

 

改心した「無政府主義者」

 AAP党首のケジリワル氏は、同党が強く推進する汚職防止(ロークパル)法案を州野党や友党に反対されたため、2014年2月、準州首相を突如辞任。以来、デリーは憲法による大統領直轄統治が続いていた。

 下院選で敗北した反省を踏まえ、今回の議会選でAAPはいち早くマニフェストを発表。前回同様「ロークパル法の早期制定」に加え、「電気代を半額に」「1世帯あたり1日700リットルまでの水道代をタダに」「小中学校500校と大学20校を新設」「全戸に無料Wi-Fiを提供」「監視カメラや街灯の増設で女性が安心して夜道を歩ける街づくり」といった弱者や貧困層に手厚い政策を盛り込んだ。

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