うるさい「機内アナウンス」

執筆者:2007年4月号

 老いて気が短くなったせいばかりではないだろう。この国のお節介は我慢の限度を超えている。とくに公共機関のお節介はすごい。 上野の美術館へ行った。大変な込みようで入場までに一時間も待った。展覧会の目玉であるはずの名画の前にたどり着いても、人の頭の間から少し見える程度だ。 美術館のアルバイトなのか、女性スタッフがこちらめがけてにじり寄ってきてこうのたまう。「ガムはおやめください」「えっ」「飲食は禁止されています」「ガムが飲食?」「そうです。美術品を傷めるからです」「えっ」「ガムを吐き捨てたら美術品につくかもしれません」「なるほど」。これはこちらが悪いのだろうが……。 乗るたびに腹立たしいのは飛行機である。飛行機では音楽を聴くか眠ることにしているが、必ず壮烈な邪魔が入る。あの機内アナウンスである。なぜ、あんなに何度もアナウンスするのか。非常用設備や脱出時の説明、これはまあ、仕方がない。しかし興味もない機内販売などうるさいだけだ。水平飛行に入ってベルト着用のサインが消える。「ただいまベルト着用のサインが消えましたが、お客さまの安全のために、着席の間はベルト着用をお願いいたします」。それならベルト着用サインを消さなければいいじゃないか。

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