合併につきものの人事抗争とはいえ、かほどに熾烈とは。グループが融資先の大赤字で揺らぐ中、ちゃっかり権力基盤を固めた策士も――。 「もう切って(取引をやめて)しまえ」  二月十三日、大手信販会社オリエントコーポレーション(オリコ)からの支援要請を受けて行なわれたみずほフィナンシャルグループ(FG)の最高首脳会議。その席上で、みずほコーポレート銀行(CB=大企業、多国籍企業や金融機関を担当)の斎藤宏頭取は、みずほFG(持株会社)の前田晃伸社長、みずほ銀行(BK=個人および中堅・中小企業、地方自治体を担当)の杉山清次頭取を前にして、苛立ちを口にした。  会議で話し合われたのは、オリコへの支援方法、みずほFGの業績を下方修正する必要性、下方修正を回避する方法、など。「オリコ自体が赤字額を固めきれないまま支援要請してきていた」(グループのある幹部)ため検討は十四日に持ち越され、具体策を見いだせないまま、支援の方針のみを確認した。  オリコが業績予想の修正を発表したのは三月六日。当期利益は三百九十二億円の黒字から四千五百七十九億円という巨額の赤字へ転落した。オリコは債務超過に陥ることを避けるため、みずほCBによる千四百億円のデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化=債務を免除してもらう代わりに、債務と同額の自社株を金融機関に渡すこと)の実施と、みずほグループとオリコの筆頭株主である伊藤忠などによる千五百億円の増資の引き受け、さらにはみずほグループへのグループ会社化の検討を要請した。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。