楽天でいま何が起こっているのか

執筆者:本田真澄2007年4月号

重要人物の相次ぐ退社はなぜなのか。創業十周年を迎えた楽天が迫られているのはTBS問題の決着だけではない。「楽天社内で『何か』が起きている。国重(惇史副社長)もいずれ三木谷(浩史社長)に切られるんじゃないか」 TBS株を大量に保有(発行済み株式数の約一九・〇九%)する楽天との「休戦協定」が失効した直後の三月はじめ、TBS関係者は楽天の経営中枢の「異変」を気にしていた。 楽天に対する不信感の第一は、TBSが求めた楽天保有株の議決権凍結措置の再延長が行なわれなかったことに対するものだが、それ以上に、二〇〇五年十一月から一年三カ月も提携交渉を続けてきたTBS幹部の間には「三木谷社長のワンマン色が強まっている」(ある幹部)ことへの疑心が感じられた。 楽天は二月に創業十周年を迎えたばかり。にもかかわらず、三月末の楽天の定時株主総会では草創期から成長の牽引役となってきた常務執行役員の山田善久氏と吉田敬氏が「一身上の都合」で退任する。 山田氏は三木谷氏と同じ旧日本興業銀行出身。宿泊予約サイト、楽天トラベルの社長も兼ね、昨夏の全日空との提携などをテコにネット旅行サービスの収益を大きく伸ばしてきた人物だ。退任が発表される直前まで「団塊の世代などもターゲットにレジャー需要を掘り起こしたい」と事業拡大に意欲を見せていただけに「退任は唐突感が否めなかった」(取引先関係者)。

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