高齢化が進んでも医療費総額はできるだけ増やさず、ひとりひとりが受ける医療の質は落とさない――。そんな難問を解く方法を真剣に考える作業が厚生労働省で始まった。

 塩崎恭久厚労相が2月13日に、大臣の私的諮問会議として設置することを発表したもので、20年後の2035年を見据えて日本の保健医療政策をまとめることとなった。

 設置された会議の名称は「『保健医療2035』策定懇談会」。座長には東京大学医学部を卒業した医師で、世界保健機関(WHO)での勤務経験もある渋谷健司・東京大学大学院教授(医学系研究科国際保健政策学教室)を据えた。

 メンバーは14人で、そのうち厚労省の官僚が4人。「20年後も一線で働いている人」と塩崎大臣が条件を付けたことから、平均年齢は42.7歳という異例に若い有識者会合になった。

 官僚4人は「省内でも中堅の改革派と衆目が一致する人たち」(厚労省関係者)で、現職の立場ではなく有識者の1人として個人的に自由な意見を述べる。また、アドバイザーとして日本医師会会長の横倉義武氏ら4人が加わるが、これも立場は「個人」。代理出席も認めないという。徹底して組織の利害を排除し、日本の保健医療の「あるべき姿」を追い求めようというのが狙いだ。

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