高まるイラン攻撃ムードの「真相」

執筆者:ジェームズ・キットフィールド2007年4月号

状況はイラク開戦前夜によく似ている。しかしイランに対するブッシュ政権のアプローチは、さすがに対イラクとはかなり違う。[ワシントン発]この数カ月、アメリカとイランの関係が緊張の度を増すにつれて、ワシントンは既視感に包まれている。ブッシュ政権は「悪の枢軸」の一角が秘密裏に核兵器を開発していると非難、大統領は一般教書演説でシーア派過激グループが「イランの指示で動いている」と主張、ペルシャ湾周辺には米軍が増派された。二〇〇三年のイラク攻撃前夜と、状況は不気味なほど似ている。 だからこそ、政治家や評論家、メディアの多くが、あの時と同じようにブッシュ政権の誘導にひっかかるものかと警戒しているのだ。 カーター大統領の国家安全保障問題担当補佐官を務めたズビグニュー・ブレジンスキーは先頃、上院公聴会で証言し、「このまま坂を転がり落ちていけば、行き着く先にあるのは、イランおよびイスラム世界との正面衝突だ」と述べた。『ニューヨーカー』誌は、国防総省はすでに攻撃目標選定のためイランに特殊部隊を潜入させており、爆撃計画はこの春にも実行に移されるだろうと報じた。米議会上院は、イランを攻撃する場合は議会の事前承認を求める法案を準備しており、ブッシュ政権が議会を無視すれば憲法違反になると警告している。

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