IT大国と呼ばれるインドだが、その軸はIT関連のサービスやソフトウェア。ITハードウェア大国の中国や台湾とは対照的で、二〇〇五年度のインドの輸出額もサービス、ソフトが一兆ルピー超(一ルピー=約二・六円)なのに、ハードは八百五十億ルピーに過ぎない。 だが、変化の兆しが見えている。インド政府は二月二十二日、「半導体政策」を発表した。その柱は、半導体や関連製品の生産拠点をインド国内に新設する国内外の企業への優遇策だ。今後三年間に工場を建設する企業には十年間の累積投資額について、その二〇―二五%を政府が補助するという。 インド政府は十億ドル以上の海外投資を呼び込み、国内の半導体および関連産業の振興を図りたい意向だ。三月に入ってすぐ、米国の半導体大手アプライド・マテリアルズがインド企業と提携して薄膜太陽電池の生産設備を建設することを発表した。太陽電池は半導体技術の応用製品であり、「半導体政策」による優遇の対象第一号になるかもしれない。 ここ数年、インドではハード産業の遅れが危惧されてきた。〇五年には、米国のIT業界で活躍するインド人実業家らが新会社「セミインディア」を設立。総投資額三十億ドルで半導体生産集積地の建設を計画し、政府に協力を求めている。

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