台湾「総統選」国民党候補は「王金平」か

執筆者:野嶋剛2015年3月12日

 台湾政治では、国民党と民進党という2大政党のウォッチの仕方はそれぞれ違っている。両党の性格に深く根ざした党文化と言うべき意思決定の特徴があり、その点を理解していないと流れを読み誤ってしまう。

 民進党は、日本の民主党型で、言いたいことを言い合っている間に、次第に結論へ収斂されていく傾向にある。収斂されないときは喧嘩になる。議論の最中はけっこう難しい顔をしているが、決着がつくとすっきりした顔になっていて、「議論は民進党の文化だ」と言って笑っている。

 国民党は自民党的で、内部の議論はあまり表に出ることはない。いわば談合型だ。お互いの利害を調整し、内々でまとまったときに初めて全貌が見えてくる。しかし、だからといって対立がないわけではなく、シグナルを微妙に出しているのでそれを見逃してはならない。どちらかというと、国民党の方がウォッチは難しいし、職人的な作業と読みが求められる。

 

すでに密約が!?

 そうしたシグナルを総合すれば、この1カ月で見えてきたことはどれも「王金平総統候補」への道筋が敷かれつつあると理解できる。

 王金平は現立法院長(国会議長)で1941年生まれ。台湾南部に地盤を置く国民党本土派(非外省人系)のベテラン政治家で、12期にわたって立法委員を務め、1999年からは立法院長を務め続ける。いわば「国会のボス」だ。李登輝元総統に近く、馬英九総統とはあまり関係が良くないとされてきた。

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