政府は3月6日、外国人介護士の受け入れ拡大策を閣議決定した。「外国人技能実習制度」の受け入れ職種に「介護」を加えること、そして「介護」という在留資格の新設である。「アベノミクス」3本目の矢、「日本再興戦略」(成長戦略)の一環として決められた。

 関連法案は今国会に提出される。成立すれば、介護施設で外国人実習生の受け入れが可能となる。また、介護福祉士の養成機関に指定された専門学校や大学を卒業後、国家試験に合格した外国人に対して、日本で就労する資格が与えられる。

 今回の閣議決定について新聞各紙は、「安倍政権は、人手不足が深刻な介護分野などでの人材確保策として技能実習制度を活用する方針」(「朝日新聞」3月6日夕刊)、「介護の分野では高齢化に伴い人材確保が課題になっており、外国人で補完する目的がある」(「毎日新聞」同日夕刊)といったように評した。外国人介護士の受け入れ拡大が「人手不足対策」だと当たり前のように報じているのだ。

 しかし、それは正確ではない。2008年に始まった「経済連携協定」(EPA)による外国人介護士の受け入れでは、政府は「人手不足対策ではない」という立場を取ってきた。同様に今回の受け入れ拡大策に関しても、厚生労働省は人手不足との関係を否定しているのである。

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