カナダの「希望」を支える好調な経済と財政

執筆者:津山恵子2007年5月号

史上二番目に長い成長を続ける経済が、財政の黒字化にも貢献する。改革を怠らなかったからこそ、「大きな希望」が広がっている。 カナダはこの三月末も、主要七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)諸国で唯一、財政黒字という偉業を達成した。財政黒字は十年連続だ。スティーブン・ハーパー首相は、教育、低所得世帯対策としての減税、高燃費車のスクラップを早める環境対策強化など、主要国中でも極めてユニークな政策を掲げている。この独自路線を支えるものは何なのか。「より強く、より安心で、より良いカナダづくり」を謳い発表された二〇〇七年度(〇七年四月―〇八年三月)予算案。歳入は二千三百六十七億カナダドル(一カナダドル=約一〇五円、以下すべてカナダドル)、歳出が二千三百三十四億ドルで、黒字額は年度末で三十三億ドル。〇八年度も三十億ドルの財政黒字を予定している。 低燃費車を買ったら奨励金がもらえるけれど、高燃費車を買ったら「環境課徴金」を払わされる――こんな環境対策も予算の柱だ。また、古い車両を路上からなくすため、今後二年間で三千六百万ドルを拠出。温室効果ガス排出量削減に十五億ドルをかけるほか、環境対策の職員を二倍にするという大変な「環境支出」だ。

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