長年の間に蓄積された経理上のノウハウを駆使して日本航空は帳簿を見栄えよくしてきた。銀行側が知らないはずはないのだが――。「このような利益操作をしている企業に融資をするということについてはどのようにお考えになっているんでしょうか」 三月二十日に開かれた参議院の財政金融委員会でのこと。峰崎直樹議員(民主党)が、日本航空(JAL)に関する質問に立ち、政府系金融機関の日本政策投資銀行(政投銀)の小村武総裁(元大蔵省事務次官)に対してそう詰め寄った。 政投銀は経営再建中のJALに対し、二〇〇六年九月中間期時点で三千億円を超える融資残がある。これまで資金繰りにあえぐJALの屋台骨を支えてきた。そしてJALが今年二月に発表した四カ年の再生中期プランを受け、四百五十億円の追加融資をした救世主ともいえる。 みずほコーポレートや三菱東京UFJ、三井住友といったメガバンク三行がこれに追随し、四行合計で五百九十五億円の融資を決めている。政投銀が護送船団を組み、資金ショートして倒産寸前だったJALを救い上げた格好だ。政投銀は護送船団の中核銀行といえる。 その融資を受ける企業側に「利益操作の疑いがある」という。それを、当の銀行が自らの分析機関で指摘していたというのだ。それを明かした峰崎議員の発言はまさしく衝撃的だった。

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