ライブドア事件で、東京地裁は元取締役宮内亮治被告を懲役一年八カ月の実刑とした。執行猶予が付くとの大方の予想を覆した判決が、検察側、弁護側双方に波紋を呼んでいる。 宮内被告は二〇〇六年一月の逮捕後から東京地検特捜部の調べに協力。裁判でも会計ルールの隙間を突いた錬金術の実態を明らかにし、検察側が「成長を続ける優良ベンチャーという印象を市場に植え付け投資家を欺いた重大犯罪」と位置付けた事件の構図を支えた。 宮内被告に対する検察の求刑は懲役二年六カ月。一方、徹底抗戦を続けた前社長堀江貴文被告には懲役四年を求めた。執行猶予は懲役三年以下の刑に付けられることから、「堀江は実刑、宮内は執行猶予」という検察側の意図が透けてみえた。 裁判長は判決主文言い渡しの直前、審理手続きの関係で異例の「再」意見陳述をさせた。宮内被告は「外に出て仕事ができるチャンスをいただきたい」と訴えたが、聞き入れられなかった。 判決後の再保釈申請のやりとりで、検察官は弁護人に恐縮した表情を見せたという。検察内部には、協力しても結果が実刑ならば被疑者が口を閉ざして捜査がしづらくなると、今後への影響を懸念する声も出ている。 宮内被告は執行猶予を見越して、事件の内幕と今後のビジネス構想をまとめた自著を準備していたが、予定していた記者会見も取りやめた。早ければ秋口から始まる控訴審で法廷闘争を続けることになる。ただ、事件のとらえ方が大きく変わるか、ライブドア株主から訴えられた民事裁判で宮内被告が自腹を切って和解し情状酌量を狙う以外、判決が覆る可能性は高くない。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。