大丸と松坂屋の経営統合で再編ムードが一気に高まる百貨店業界。小売業界ではイオンがダイエーを吸収、セブン&アイもミレニアムグループと統合するなど、流通業界は生き残りをかけ規模の追求に一気に舵を取り始めた。そのなかで次に注目されているのが伊勢丹だ。 伊勢丹は旗艦店である新宿店が一店舗あたりの売上げで業界トップを走るが、「品質の良い商品を安く仕入れるには、どうしても規模の大きさに伴う購買力の強化が不可欠」(大手証券アナリスト)だ。その伊勢丹が目をつけるのが松屋だ。伊勢丹は松屋の株式を四・一%保有するほか、店のイメージも似通っており、相性がいい。 しかし、この二社は店舗が首都圏に偏っており規模を追求するという点では条件が悪い。そこで、この両社に高島屋も合流する可能性が出てきた。三社のメーンバンクはいずれも三菱東京UFJだ。「大阪、名古屋を基盤にした大丸、松坂屋の統合は合理的。首都圏に両社が打って出てくるのは脅威」(高島屋幹部)で、「松屋の大株主でもある東武鉄道も巻き込んで、グループの東武百貨店も合流すれば一気に力は強まる」(同)。少子化の影響などで今後、国内小売業の市場規模は先細りに向かう。大丸・松坂屋連合に対抗して新たな勢力ができるかどうか、関係者は注目している。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。