東京・六本木の旧防衛庁跡地にオープンした東京ミッドタウン。三井不動産を含む六社連合が二〇〇一年に千八百億円で同跡地を買い取った際には「本当に採算が取れるのか」との声が多かったが、〇三年ごろから都心の地価は反転上昇し「三井不動産は安い買物をした」(大手証券アナリスト)との評価に一変した。 バブル崩壊後、三井不動産が都心部の地価下落案件に積極的に資金を投じ再開発を手がけて業績を伸ばしたのに対し、ライバルの三菱地所には「海外の投資家から複数の買収提案が寄せられている」(大手投資銀幹部)。「丸の内の大家」と呼ばれる三菱地所は「丸ビルなど優良資産を数多く抱えるため、海外の投資ファンドの買収の的になりやすい」(大手証券アナリスト)という。 ここにきて複数の海外投資家が三菱地所に買収を提案しているのは「三井不動産に比べ用地の取得に対する動きが鈍いほか、賃料引き上げなどの面で経営の判断が遅い」(海外投資ファンド幹部)から。「われわれが買収すればもっと資産効率を上げることができる」(同)という。この五月の三角合併の解禁で不動産会社も外資によるM&Aの標的となる可能性は十分にある。「時価総額は四兆円台と買収の危険性は低い」(三菱地所幹部)といい、いざとなれば三菱グループが黙っているわけがないが、海外の投資ファンドが複数で組んで買収に乗り出してくるケースもありうるので、絶対安泰とは言い切れない。

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