インド政府が3月中旬に国会に提出した「Sick PSU」、いわゆる経営不振の赤字国営企業65社のリストが波紋を広げている。リストにはナショナルフラッグキャリアの『エア・インディア(AI)』や、大手電話会社『MTNL』、造船大手『ヒンドスタン・シップヤード』などが名を連ねており、アナント・ギート重工業相はこれらのうち、かつて市場を席巻していた『ヒンドスタン・マシン・ツール(HMT)』の時計、トラクター部門などを含む5社については、閉鎖・清算する方針を明らかにしたからだ。

 ギート大臣は、「赤字が続き、存続が困難と判断した会社は閉鎖し、従業員には有利な自主退職スキームを提供する」と具体的に踏み込んだ。HMT以外の「閉鎖」対象企業は明らかにしなかったが、産業界や労組を震撼させるには十分なインパクトがあった。

 こうした国営企業の経営不振の背景には、設備の老朽化による生産性の低下や大量の余剰人員、そして資本過小や債務過大など、インドの公的企業が多かれ少なかれ抱えている問題がある。重工業省によると、累積赤字額が過去4年間の時価総額平均の50%以上に達した会社は、「Sick PSU」として認定されるという。

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