政治家をとまどわせる諸刃の剣「ユーチューブ」

執筆者:リンダ・フェルドマン2007年5月号

東京都知事選でも物議を醸した「ネット上の政治ビデオ」。技術革新は政治に未知なるインパクトを与えようとしている。[ワシントン発]ヒラリー・クリントンは音痴だ。どうして、それがわかるのか? インターネットでビデオ映像共有サイトの「ユーチューブ(YouTube)」に行き、“Hillary”“National Anthem(国歌)”とキーワードを入れれば、いつでも誰でも、アイオワ州の選挙集会でアメリカ国歌を歌うヒラリーの映像を見ることができるからだ。有名なオンラインニュース「ドラッジ・レポート」がこのビデオを紹介したことで、「歌うヒラリー」は何百万もの人々の目(と耳)に晒されることになった。 ビデオがネット上で共有されて間もなくその存在に気づいたクリントン上院議員の選挙対策本部は、悩ましい問いに直面することになった。いかに対処すべきか? 「本当は歌えるのよ!」「歌詞を全部知っていることの方が重要だわ!」といった過剰反応は事態を悪化させるだけだ。一日で消えるはずの話を、何日も続く大騒ぎに変えてしまう。ヒラリー選対が選んだ道は、スポークスマンが事もなげに「歌唱力は大統領職の要件ではありません」と宣言することだった。それで事は収まった。

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